泣き止まない。寝ない。もう限界だ。
そう思った夜が、あった。
これは、そういう夜の話だ。精神科医として、そして同じ夜を過ごした母として、正直に書く。
あなたにも、いつかこんな夜が来るかもしれない。そんな時に、読んでほしい。
・ 夜泣きが続いて、自分がいつ眠れるのか分からない
・ 黄昏泣きで毎晩夕方から憂鬱になる
・ 泣き止まなくて、自分まで泣きたくなる
・ 風邪をひいて夜中ずっと付き合っている
・ 「いつまで続くのか」と先が見えない
どれも、おかしいことではない。誰もが通る道だとわたしは思っている。
この記事を読むと——
・ 黄昏泣き、夜泣きの乗り越え方がわかり、少し気持ちが楽になる
・ 生後3ヶ月という転換点を知り、先が見えてくる
・ 「泣かせておいていいのか」という罪悪感が、スッと消える
・ ギャン泣きされても落ち着いて対処できる
・ 眠れない夜の乗り越え方が、精神科医ママの実体験から分かる
今夜が、少しでも楽になりますように。
眠れない時期は、本当につらかった
産後しばらく、ほぼ徹夜が続いた時期があった。
この記事の最後にも紹介するが、産後眠れない夜について書いた手紙にも書いた通り、色々と大変だった。
里帰りをしていたけれど、夜は一人で対応していた。うとうとしながら赤ちゃんを抱っこして、落とさないようにすることだけを考えていた。
あの頃乗り越えられたのは、いくつかの工夫があったからだ。
イヤホンをつけ全く関係ない連続ドラマやアニメをiPadで流すこと。同じような産後ママのSNSやブログを見て「みんな頑張っている」と思うこと。涙を流すのを我慢しないこと。
人を頼れるなら、自分の睡眠時間を守ることが最優先だ。でも各家庭に事情があるのも分かっている。わたしのように結局人を頼れない時は、いかに楽に過ごすか、起きている時間のお楽しみを作るに尽きる。
それでもダメな時は、役所や産院に何度か相談すること、精神科への受診も考えていた。自分が受診したり主治医からの指示だと伝えれば、周囲も納得して環境を動かしやすくなることもあるから。
精神科医として言う。睡眠不足は、脳と心を確実に蝕む。眠れないと、目の前の問題にすら向き合えなくなる。眠れる時間を少しでも作ることが、最優先だ。
泣かせておいていい。医学的に、問題ない
十分にお世話をして、ミルクや離乳食もとり、オムツも替えて、服も濡れていないなら——多少ぐずっていても少し放置するのも手だ。
その場を離れ、ベビーモニターで確認しながら作業しよう。
泣くこと自体は、赤ちゃんにとって悪いことではない。
「泣き」に関する心配で病院を受診した子どもの95%には特に医学的な問題が見つからず、正常な範囲とされている(1)。しっかり泣く、ギャン泣きすることは良い運動になり、心地よい疲労をもたらして眠りにプラスになることもある(2)。
泣き声が気になっても、必ずしもすぐに駆けつけなくていい。ベビーモニターを使いながら、少し距離を置いて様子を見る時間を作ってほしい。
黄昏泣き・夜泣きは、パパと二人で嘆き合いながら
黄昏泣きや夜泣きの時は、パパと交代しながらやっていた。
「あたりが明るくなってきた……」とパパと嘆き合いながら。交代で寝たり、一緒に起きていたり。
今でも覚えているのは、パパが「レット・イット・ビー」を歌いながら、あなたをゆらゆらと抱っこして動かしていた光景だ。なぜその曲だったのかは分からないけれど、あの夜明け前の時間を、今は少し懐かしく思う。
黄昏泣きは夕方から夜にかけて、理由もなく泣き続けるあの時期だ。生後2〜3ヶ月頃にピークがあって、自然と落ち着いてくることが多い。
1時、2時頃まで寝かしつけをしていたこともあった。ずっと抱っこは大変だし、寝かせるとギャン泣きするし、やっと寝ても朝方3時、4時に上の子の寝言で起きて泣いて……という夜もあった。
精神科医として言えば、黄昏泣きの原因は今もはっきりとは解明されていない。だから「何かが悪い」わけではない。
ただただ、一緒に乗り越えるしかない時期だ。
毎日、光とリズムを意識して(3)。
赤ちゃんの睡眠リズムの整え方は次の手紙に詳しく書いたので、あわせて読んでほしい。
風邪の時は、別の話
風邪をひいて鼻が詰まった時は、もう全く寝てくれないし、こちらも眠れなかった。
苦しそうで、こっちも見ていて辛い。寝不足が続き、精神的にやられた。日中あなたが寝た時しか、わたしが眠れる時間はなかった。
こういう時は、ただただ寄り添う。
リズムを作るのは難しいので、光だけ意識した生活にする。
無理に寝かせようとしなくていい。苦しい時は抱っこしてあげる。それだけでいい。体調が戻れば、またリズムに戻れる。
生後3ヶ月が、一つの転換点だった
眠れない時期を脱したのは、生後2、3ヶ月頃からだった。
ミルクの間隔が夜だけ少しあいてきたのがきっかけだった。わたしが意識的に間隔をあけたというより、あなたたちが寝てくれて、自然とあけられるようになっていった。
夜中にミルクを飲ませなかったら脱水になるのでは、と心配になるかもしれない。でも生後3ヶ月頃になれば、0時頃の寝る前のミルクを気持ち多めにして、その後4〜5時間確保できるだけでも、寝不足の親には本当にありがたい話だ。もちろん赤ちゃんが泣いて起きたら、オムツを替えたりミルクを飲ませてあげたりしてほしいが、ぐっすり寝ているなら無理に起こす必要はない。
そうやって乗り越え、気づいたら「いつになったら眠れるんだろう」という感覚が、薄れていた。夫に「ママが、腕のいい精神科医だからよく寝るのかもよ」と冗談でドヤ顔をしながら言ったら、「いやあ、本当にそうなんじゃない?」と真面目な顔で返ってきて、嬉しくてドヤ顔が崩れてしまった(笑)。
生後3ヶ月は、一つの目安だ。
もちろん個人差がある。もっと早い子も、もっとかかる子もいる。でも、永遠には続かない。それだけは確かだ。
今しんどくても、必ず変わる。その言葉を、あの頃のわたしに届けたかった。
最後に、あなたへ
眠れない夜は、本当につらい。
きっと一生懸命やっているんだよね。悩みながら、疲れながら。
だからこの秘伝の書を開いてくれた。
この大変さはずっとは続かない。体が覚えていく。リズムができてくる。
あなたもわたしも、少しずつ強くなっていったでしょう。
しんどい夜を一人で抱えないでほしい。誰かと交代してほしい。泣いていい。イヤホンをつけ夜中にドラマを流したっていい。ベビーモニターを頼っていい。
大丈夫。今これを読んだだけで、きっと楽に過ごせるようになるから。
参謀医Reimyより
参考文献
(1) Harskamp-Van Ginkel MW, et al. The need of having a plan in excessive infant crying – A qualitative study of parents’ experiences of healthcare support. Acta Paediatrica. 2023;112(3):434–441.
(2) Ohmura Y, et al. A method to soothe and promote sleep in crying infants utilizing the transport response. Current Biology. 2022;32(20):4521–4529.
(3) Kok EY, et al. The role of light exposure in infant circadian rhythm establishment: A scoping review perspective. European Journal of Pediatrics. 2025;184:112.
📜 産後2時間おきの授乳で眠れない夜の工夫については、こちらも読んでほしい。



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