ごはんの途中で、次の番組が始まる。
「もう消すよ」と言えば、ぐずるか、怒るか、泣くか。放っておけば1時間。
気づけば、夏休みが「動画の夏」になっていく。
こんにちは。参謀医Reimyです。 神職と参謀の家系に生まれた精神科専門医で、二児の母。EC事業を営んだ経験もあります。
「夏休みの画面」シリーズ(全3回)の②です。 ①は自分から選んで遊ぶゲームでした。この記事は、向こうから勝手に流れてくる「動画・テレビ」の話。いちばんの違いは、終わりが用意されていないことです。③ではSNSを扱います(末尾にリンク)。 主に未就学から小学生のお子さんがいる家庭を想定しています。
この記事は、こんなあなたに向けて。
- YouTubeやテレビが止まらず、一日が動画で埋まっていく
- ショート動画のスワイプが、いつまでも終わらない
- 見せすぎと分かっているのに、親の自分も画面を消せない
読めば、終わりのない画面に区切りをつくる方法と、画面以外の「好き」の育て方が分かります。
⏱ 10秒まとめ
- 終わりがないのは設計のせい。子どもの意志の問題ではない。
- ルールは2つ。観る場所を決める/つけっぱなしにしない。
- 終わらせ方は4つ。本数・録画・次の予定、そしてショート動画には別の手を。
- いちばん効いたのは、画面より楽しいものを先に育てておくこと。
動画をやめられないのは、しつけがなっていないからではない
次の動画が勝手に始まるのは、そう作られているからだ。
絵本なら、最後のページをめくれば終わる。
テレビはすぐに次の番組が始まる。動画にはおすすめが表示され、放っておけば自動で再生される。どこまで行っても「おしまい」が来ない。
その極みが、ショート動画だ。
先日、ママ友が笑いながら言っていた。「あんなもの、世の中から消し去りたい」。冗談めかしていたけれど、目は本気だった。
15秒で終わって、すぐ次が始まる。終わったのか続いているのか、観ている本人にも分からない。終わりの合図が、設計から抜き取られている。
終わりのないものを、子どもの意志だけで終わらせる。大人でも難しいことを、幼い子に求めていることになる。
現に、私たちも同じところにはまっている。子どもに「消しなさい」と言っておきながら、自分はスマホをスクロールしている。私にも覚えがある。
それは子どもにも影響しうる。子どものそばで親がスマホを使う時間は、その子の発達とマイナスに関係する(1)。
この問題は、「子どもをどう直すか」ではなく、家族でどう付き合っていくかの話になる。
そこでこの記事は、3つに分けて書く。エビデンスに基づく「ルール」、今日から使える「終わらせ方」、そしてわが家の「工夫」だ。
| 戦略 | やること |
|---|---|
| ① ルール(2つ) | 観る場所を決める(ベッドでは観ない) つけっぱなしにしない |
| ② 終わらせ方(4つ) | 本数で決める 録画にする 終わったあとの予定を先に言う ショート動画には別の手を使う |
| ③ わが家の工夫(3つ) | 画面より楽しいものを育てる 観る時間帯は、こちらで決める 音楽をかける |
全部やる必要はない。ひとつ選んで、今日から。
ルールは2つだけ|観る場所決め・つけっぱなしにしない
時間を減らすのは、あとでいい。その前に決めるものが2つある。
ルール1 観る場所を決める。ベッドには持ち込まない
効いていたのは「何時に消すか」より、「どこで観るか」だった。
寝る前の画面を実際に測った研究がある。テレビも、動画も、ゲームも、スマホのやりとりも、すべて含めて記録したものだ。
意外なことに、寝る2時間前の画面は、その夜の睡眠時間をほとんど削っていなかった。ただし、平気だったという意味ではない。遅く寝たぶん、遅く起きていただけだ。眠りが削られる代わりに、一日ぜんぶが後ろへずれていた。(2)。
削っていたのは、ベッドに入ってからの画面のほうだ。10分増えるごとに、睡眠が3分短くなる。動画を観るだけでも短くなり、ゲームだと17分と、さらに大きかった(2)。
「寝る30分前」でも「1時間前」でも、時刻で区切ることに意味は見られなかった。
効いていたのは時刻ではなく、場所だった。
「うちはまだ寝室に画面なんてない」。そういうご家庭が、実はいちばん強い。今のうちに「画面はベッドでは観ないもの」という前提にしておけるからだ。
布団の中で観る癖は、ついてから直すより、つく前に手を打つほうがはるかに早い。
ただし、夏休みには落とし穴がある。
起きる時刻が自由なうちは、ずれたままでも眠れてしまう。だから夏休みのあいだは、問題が表に出ない。
新学期が来ると、起きる時刻だけが強制的に元に戻る。 寝る時刻は後ろにずれたままなので、そこで初めて睡眠が削られる。
夏に本当に怖いのは、睡眠が減ることより、一日が丸ごと後ろにずれることだ。
夜を遅くまで延ばさない目安は、それでも持っておきたい。睡眠時間そのものには効かなくても、一日が後ろにずれるのは止められるからだ。
日本小児科医会は、寝る1時間前にはメディアの使用を終えることをすすめている。小さいお子さんほど、この目安が効いてくる。
例外は、作っていい。夏休みに家族で映画を観る夜。旅行先や、飛行機のなか。特別な日は、特別でいい。大事なのは、翌日から元に戻すことだけだ。
なお、寝つけない、夜中に何度も起きる、朝どうしても起きられない。そんな状態が続くようなら、画面とは別に原因があるかもしれない。小児科などに相談してほしい。
ルール2 つけっぱなしにしない
誰も観ていないのに、音と光だけが出ている。この状態をなくす。
画面に費やす時間が長いほど、子どもの言葉の力は伸びにくい。とくに目立つのが、この「つけっぱなしのテレビ」だ(3)。
とくに消したいのは、食事のとき。家族の会話が生まれやすい時間だからだ。日本小児科医会も、食事中の視聴を控えるようすすめている。
消したとたんに静かになって物足りない。その対策は「わが家の工夫」で書く。
終わらせ方|本数・録画・次の予定。そして厄介なショート動画について
「終わり」を、子どもの目に見える形にする。
終わらせ方① 「何分」ではなく「何本」で決める
「30分ね」より「これを1本だけ」。
子どもに30分の長さは分からない。「1本」なら、始まる前から終わりが見えている。
とくに夕食の準備中は、1〜2本と決めておくと効く。うちの場合は30分から60分ほど。終わるころにはごはんができていて、画面から食卓へそのまま移れる。
終わらせ方② リアルタイムより、録画にする
放送中の番組は、終わっても次が続く。録画なら、決めた分が終わればそこで画面が止まる。
親が消すのではなく、番組のほうが終わってくれる。 この違いは、思っているより大きい。
動画サイトを使うなら、自動再生を切っておく。同じ理屈だ。
終わらせ方③ 始める前に、終わったあとの予定を言う
「これが終わったら、公園に行こう」。「観たら、お風呂だよ」。
区切りの先に楽しみがあると、画面は「終わらないもの」から「次の楽しみまでの待ち時間」に変わる。
ここで、ひとつ気をつけたい。同じ予告でも、「時間」の予告は逆効果になりやすい。
時計で区切るより、「この回が終わったら」と番組の切れ目で終えるほうが、子どもは怒りにくい。逆に、残り時間を予告された子のほうが荒れやすかった(4)。
調べられたのは1〜5歳の家庭なので、大きいお子さんで同じかは分からない。
それでも、心当たりはないだろうか。楽しんでいる最中に「もうすぐ終わり」と言われた瞬間、気持ちがすっと冷める。あの感覚は、大人にも覚えがあるはずだ。
| つい言ってしまう | こう言いかえる |
|---|---|
| 「あと2分でおしまい」 | 「これが終わったら公園に行こう」 残り時間の予告は、かえって荒れやすい |
| 「30分だけね」 | 「これを1本だけ」 幼い子に、30分の長さは分からない |
| 「6時になったら消すよ」 | 「この回が終わったら消そうね」 時計より、話の切れ目のほうが終われる |
| (画面の前で)「もう我慢して」 | 「くつ履いて、外に行こう」 画面のそばで我慢させない。体ごと離れる |
とくに最後の行が効く。画面のそばで我慢させず、玄関を出てしまえば、たいてい忘れる。
切り替えが苦手なお子さんもいる。発達に特性があると、途中で止められることが強い苦痛になりやすい。そういうお子さんほど、この「終わりが目に見える形」が助けになる。
うまくいかないのは、しつけでも愛情でもなく、やり方がその子に合っていないだけのことが多い。
終わらせ方④ ショート動画編
ここまでの3つは、どれも「終わりの目印を作る」方法だった。
ショート動画には、その目印が作れない。
1本が15秒なので「1本だけ」は成り立たない。話の切れ目もない。
ここまで「時計で区切るのは効きにくい」と書いてきた。ショート動画だけは例外だ。 他に区切りが用意されていない以上、時間を持ち込むしかない。
そのうえで、打てる手が3つある。
その1。開くまでを、面倒にする。
これがいちばん確かだ。
アプリを開こうとしたときに1秒だけ待たされ、「やめる」という選択肢が出る。それだけの仕掛けを試した実験がある。
開いたあとそのまま閉じた場面が3回に1回あり、そもそも開こうとする回数が37%減っていた(5)。
効いたのは、待たされることと、やめる選択肢が目に入ること。「気をつけましょう」という注意書きは、効かなかった。
家庭でできるのは、もっと簡単なことだ。
- そもそもアプリを入れない
- ホーム画面から外して、フォルダの奥に置く
- 観たいものを検索して開き、そこから縦にスワイプしない
- テレビの大画面に映す(手元から離れるうえ、親からも見える)
画面を白黒(グレースケール)にすると使用時間が減る、という報告もある(6)。大人で1日20分ほど。子どもの端末で実際にやる家庭は少ないと思うが、こういう手もある。
アプリを消すかどうかは、本人が決めることだ。親が勝手に消しても、たいていうまくいかない。
どう付き合えばいいか、一度話し合ってみてほしい。いくつか試して、本人が「これならいける」と思えるところに落ち着けばいい。
意志の強さではなく、指が届くまでの距離で決まる。
その2。開く前に、ひと呼吸おく。
もし私が子ども時代に戻ったら、こうすると思う。
開く前に、ドリルを1問だけ解く。コツは、「動画の前にやるもの」を1つ決めておくことだ。毎回どれをやるか選ぶのは大変だし面倒だから。
それから「今日はどんなものを観ようかな」と考えて開く。
ぼーっと観たい日もある。そういう日は、観終わったあとの遊びを先に決めて、アラームをかけてから開く。
アラームは合図にすぎない。大事なのは、鳴ったあとに何をするかを、先に決めておくことだ。 飲み物を取りに行く。トイレに行く。別の部屋へ移る。外に出る。
①のゲーム編で書いた「始める前の30秒」は、ショート動画でも同じだった。終わりを告げるのではなく、次の行動へ渡す。画面の前で「やめなさい」と言い合っても、たいてい勝てない。
その3。終わりのあるものに置きかえる。
30分の番組、1本の映画、1冊の絵本。「たっぷり観ていい日」を作るなら、終わりがあるほうを選ぶ。同じ1時間でも、終わったあとの荒れ方がまるで違う。
時間制限のアプリを入れる家庭も多いようだ。
終わりのあるものへ寄せるほうが、家の中は穏やかだ。
なお、ここまでは「観る」側の話。自分で投稿する、コメントする、見られる側になる。その話は③のSNS編で書く。
わが家の工夫|いちばん効いたのは「他に楽しいことがある」
ここから先は、私自身の経験や試して合ったものを残した、わが家の工夫だ。
わが子はまだ幼稚園。ゲームはしないが、テレビと動画は観る。合いそうなところだけ、持って行ってほしい。
並べる順番は、効いた順にした。最初のひとつが、群を抜いていた。
工夫1 画面より楽しいものを、先に育てておく
わが子は、工作と絵本が好きだ。大きいお子さんなら、料理でも、スポーツでも、絵でもいい。何が刺さるかは、その子次第だ。
してきたのは、大したことではない。作ったものを一緒に見て、「これ、どうやって作ったの?」と面白がる。たまに、私も一緒に作る。
考え方は単純だ。手元にないおもちゃは、作ってしまえばすぐ手に入る。
「ベビーモニターがほしい」と言われたときは、トイレットペーパーの芯と厚紙で、カメラとモニターをささっと作った。時間がなくて一緒に作れない日は、隣で見てもらいながら私が作って渡す。
作ったおもちゃで遊ぶのは、単純に楽しい。工作ワークも売っているけれど、うちでは作り方のヒントや発想の引き出しとして使っている。基本は、自分で思いついたものを作る。
テレビよりも「作りたい」が、先に来るようになる。
今では、「工作したいからテレビ消しておこう(つけないでね)」と本人が言う。
取り上げて空けた時間は、すぐに画面に埋め戻される。好きなことで埋まった時間は、そうならない。
「うちの子には、そこまで夢中になるものがない」と思われるかもしれない。まだ見つかっていないだけだ、と私は考えている。
画面以外の楽しみを見つけるには、それなりに時間がかかると思うが、夏は、この点で最強の季節だ。プール、祭り、花火、虫取り、友だちの家。画面の中より楽しい現実が、一年でいちばん多い。いろんな遊びに挑戦できるタイミングだ。
ぜひ、子どもが少しでも身を乗り出したものに、親自身も面白いねと興味を持ってあげてほしい。
「画面の時間を減らしたら、わが子は本当に変わるのか」と思うかもしれない。
デンマークの試験では、家族ぐるみで2週間だけ画面を大きく減らしたところ、落ち込みや不安が軽くなり、人に優しくふるまう行動が増えていた(7)。
端末を預けるほど徹底したやり方なので、同じようにはいかない。それでも、家族で取り組めば2週間でも動く。そこは心強い。
工夫2 観る時間帯は、こちらで決める
わが家が観るのは、昼食後の食休みか、夕食の準備中だけ。
午後は、午前より頭が疲れている。家事も立て込み、子どもを見ていられない時間が増える。
疲れた時間に、頭を使わなくていいものを。そう決めておくと、頼ることの後ろめたさが減る。決めた時間のなかであれば、立派な使い方だ。
逆に、夏休みの朝はほとんどつけない。
学校がある日なら、朝つけてもいい。時計としての機能もあるし、出かける時間が来れば、否応なく終わるからだ。
問題は夏休みだ。 出かける予定がないと、終わらせるものが何もない。朝つけると、そのままずるずると続いてしまう。
「いつでも観ていいもの」ではなく「この時間に観るもの」にしておく。すると、それ以外の時間に交渉が起きなくなる。
工夫3 日常に、音楽を取り入れる
毎日、出かけられるわけではない。雨の日も、暑すぎる日も、親が疲れきっている日もある。そういう日に困るのが、消したあとの静けさだ。手持ちぶさたに耐えられず、つい何かをつけてしまう。
そんな日は、先に音楽をかけておく。
音だけなので、ルール2の「つけっぱなしのテレビ」とは別ものだ。そして音楽が流れていると、そもそもテレビをつけたい気持ちが起きにくい。消したあとも「もう一本」の欲求が紛れる。無理やりつけたとしても、音が重なって耳障りだ。
我慢に頼らず、環境のほうで決める。 この記事で一貫して言いたいのは、そこだ。
何をかけるかは、難しく考えなくていい。歌詞があってもかまわない。童謡でも、学校で歌う歌でも、クラシックでも。子どもが口ずさめるものなら、それ自体が楽しみになる。
おすすめは、場面ごとに決めておくこと。ごはんのときはこれ、片づけのときはこれ、遊んでいるときはこれ。
曲が変われば、子どもは次に何をする時間か分かる。音楽そのものが、区切りの合図になる。
私は、食事のときにクラシックが流れている家で育った。曲を聴けば「食事のときの曲だ」となる。実家では今でも、天井のスピーカーから音楽が流れている。
わが家はまだそこまで至っていない。スピーカーの購入を考えながら、今はスマホから流している。
| 時間 | 観るとしたら |
|---|---|
| 朝 | 夏休みはほとんどつけない |
| 昼食後 | 食休みに1本 |
| 夕食の準備中 | 1〜2本(30〜60分ほど) |
| 夕食 | 消して、音楽をかける |
| 夜 | ベッドには持ち込まない |
毎日この通りというわけではなく、むしろこれはわが家にとっては画面時間が多い日だ。出かける日や、工作に夢中な日は、全く画面を観ない。「毎日こうする」ではなく、「観るとしたら、このあたり」という目安だ。
夏休みは、外に出る日をいくつか作る
学校がある日は、時間割が子どもを守ってくれている。
起きる、行く、給食、帰る。この区切りが、勝手にリズムを作ってくれる。夏休みは、それが丸ごとなくなる。起きてから寝るまでが、ひとつづきの空白になる。
消えるのは時間ではなく、「区切り」のほうだ。
学校のない期間は、子どもの画面時間が増え、運動や睡眠も乱れやすい(8)。逆に、夏の日中活動プログラムに参加した小学生は、画面時間が減っていた(9)。
つまり、夏の画面問題は子どもの性格のせいではない。区切りが消えた環境のせいだ。
環境の問題なら、予定を入れるだけで手を打てる。習い事、地域のイベント、家族での外出。予定が入っている時間は、そもそも画面の前にいられない。
習い事に頼る日があっても、少しも構わない。本人の活動が増えるし、自分では思いつかない刺激にも出会える。
無理のない範囲でいろいろなものに触れさせて、生活を整える道具としても使える。
ただし、たくさんやらせるだけ、座って受けるだけになると、力は伸びないし本人もつらい。やる気を確かめながら選ぶ。 それだけで、習い事は味方になる。
そのうえで、埋め尽くさなくていい。空いた時間に子どもが自分から何を選ぶか。そこを育ててほしいからだ。
外に出ると、目も守れる
外遊びには、もうひとつ効果がある。近視になりにくい。
小学1年生を3年間追った試験では、学校で毎日40分だけ外にいる時間を足したところ、近視になった子の割合が39.5%から30.4%に下がっていた(10)。
日本小児科医会も、近視予防に1日2時間以上の外遊びをすすめている。
画面の時間を減らすより、外にいる時間を増やすほうが、たぶん実行しやすい。そして夏は、それが自然にできる季節だ。
完璧な時間割はいらない。朝と夕方に、ひとつずつ予定があれば十分。残りは空けておいていい。
よくある質問|何時間まで、ショート動画、食事中のテレビ
Q1. 消すときに、毎回もめます。うちだけでしょうか?
ほとんどの家庭で起きています。1〜5歳の子がいる家庭への調査では、93%が「かんしゃく、ぐずり、抵抗がときどきある」、37%が「ほぼ毎回もめて終わる」と答えました(4)。
しつけの問題ではありません。
もめにくくするには、1本の終わりまで待って消し、消したらすぐ次の楽しいことへ移ります。
途中で切られる経験が続くと、次からもっと粘るようになります。
なお、切り替えのたびに激しく荒れる状態が長く続き、園や学校の生活にも支障が出ている場合は、小児科や児童精神科にご相談ください。
Q2. 結局、1日何時間までならいいのでしょうか?
はっきりした線はありません。目安としては、日本小児科医会が「2歳未満は推奨されない」「2〜4歳は1日1時間未満」「メディア接触の総時間は1日2時間まで」を示しています(11)。
ただ、時間だけを見ていると苦しくなります。同じ1時間でも、番組を1本最後まで観るのと、ショート動画を流し続けるのとでは、終わったあとの様子がまるで違います。
目安は持ちつつ、終われたかどうかを見てあげてください。
Q3. ショート動画だけ、どうしても止まりません。
止まらないように作られているので、意志の力では勝てません。本文で書いたとおり、開くまでを面倒にするのがよく効きます。
アプリを入れない、ホーム画面から外す、観たいものを検索して開く。それだけで、手が伸びる回数が変わります。
あわせて、時間を決めてアラームをかけ、鳴ったら別の場所へ移ってください。「たっぷり観ていい時間」は、終わりのあるものへ寄せる。禁止するより、置きかえるほうが続きます。
Q4. 食事中にテレビや動画をつけるのは、やめたほうがいいですか?
できれば消したい時間です。日本小児科医会も、食事中の視聴を控えるよう提言しています(11)。食事は、親子の言葉が行き交う時間だからです。
消したあとが物足りないときは、本文で書いたように音楽へ置きかえるのがおすすめです。
Q5. YouTubeとテレビ番組では、どちらがましですか? 言葉の遅れも心配です。
媒体で優劣が決まるわけではありません。研究が示しているのは媒体の差ではなく、内容の質と、大人が一緒に観るかどうかです(3)。
画面に費やす時間が長いほど言葉の力と負の関係にあった一方、教育的な内容を選ぶことや、大人が一緒に観ることは良い方向の関係にありました。
見せるかどうかより、その前後に会話があるかどうかです。
選ぶ基準にしてほしいのは、お子さんがどちらなら終われるか。同じ番組でも、録画なら終われて自動再生では終われない、ということが起こります。終わりやすいほうを多めにしてください。
なお、友だちが何を観ているか、まわりの親に聞くのもおすすめです。ひとつでも同じものを観ていれば、学校で話に入れます。
画面から離れるための早見表
この記事の中身を、一枚にまとめておく。
| 場面 | 打つ手 |
|---|---|
| ふだんから | 画面より楽しいことを、先に育てておく |
| 始める前 | 「これを1本だけ」と本数で決める 終わったあとの予定を先に言う |
| 観ている間 | 録画にする/自動再生を切る できれば、となりで一緒に観る |
| ショート動画 | アプリを入れない/ホーム画面から外す 開く前に、次の行動を決めてアラームをかける 終わりのあるものに置きかえる |
| 終わるとき | 話の切れ目で消す 「あと2分」は言わない 体ごと、その場を離れる |
| 消したあと | 音楽をかける 次の楽しみへ、すぐ移る |
| 夜 | ベッドには持ち込まない 寝る1時間前には終わる |
| 夏休みならでは | 外に出る日をいくつか作る(目も守れる) 朝はつけない |
上から順にやる必要はない。ひとつ選んで、今日からゆるりとやってみる。
おわりに
夏休みは、もう後半に入った。
「ここまで好きにさせてしまった」と思う方がいるかもしれない。取り返す必要はない。
ベッドに持ち込まないこと。つけっぱなしにしないこと。残りの2週間、まずはその2つだけで、家の中の空気は変わる。
画面を消させることは、目的ではない。目的は、その子が「これがしたい」と自分から言えるものを、いくつ持って大人になるかだ。
工作でも、虫取りでも、絵本でもいい。何かに夢中になっているとき、子どもの手元に画面はない。
この夏、そういう時間をひとつでも多く。それが何よりの守りになる。
心が変わると、すべてが変わる。——夏休みも、画面との距離も、人生も。
参謀医Reimyより
📜 「夏休みの画面」シリーズ(全3回)
- 【①ゲーム編】「やめなさい」より効く、始める前の30秒
- ②動画・テレビ編(この記事)……向こうから流れてくるもの。「終わりがない」問題
- 【③SNS編】開いた窓のようで、実は「個室」(後日公開予定)
あわせて→ 【夏休みの過ごし方①・海編】
免責事項
本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療に代わるものではありません。文中の「わが家の工夫」は、あくまでわが家に合っただけの一例です。ご家庭ごとに事情も、お子さんの性格も違います。押しつけるつもりはありませんので、合いそうなところだけゆるく取り入れてください。お子さんの発達や生活リズムで気になることが続く場合は、小児科・児童精神科など医療機関にご相談ください。
参考文献
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参考資料
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