【夏休みの画面③・SNS編】全て禁止より、リアルを充実させる

屋外で水に触れて一緒に笑う子どもたち|SNSより先にリアルの人付き合いを育てる 子育て

「この夏、スマホばっかりだった」

先日、ママ友が言っていた。小学5年生のお子さんがいる。

夏期講習で知り合った子と、SNSでつながったのだという。その子とのやりとりは、新学期が始まっても続いていく。


こんにちは。参謀医Reimyです。 神職と参謀の家系に生まれた精神科専門医で、二児の母。EC事業を営んだ経験もあります。


「夏休みの画面」シリーズ(全3回)の③です。 ①は自分から遊ぶゲーム、②は流れてくる動画・テレビでした。この記事はSNSの話。前の2つと違うのは、向こうに人がいることです(末尾にリンク)。 主に小学校高学年から中高生のお子さんがいる家庭、そしてこれから持たせる家庭に向けて書いています。

この記事は、こんなあなたに向けて。

  • そろそろSNSを欲しがっていて、正直こわい
  • 「うちはまだ早い」で本当にしのげるのか、自信がない
  • 危ないと分かっているのに、うまく説明できない

読めば、よくある心配5つへの答えと、禁止ではない守り方が分かります。

⏱ 10秒まとめ

  • SNSは開いた窓に見えて、実は中が見えない個室
  • 早く始めるほど、勉強と集中に響きやすい。
  • 大事なのは時間の長さより、どう使っているか
  • 禁止より、使い方を考えるほうが効く。 これは研究でも分かっている。
  • いちばん効くのは、SNS以外の「好き」と、リアルの人付き合い
  • 夏にできた新しいつながりは、新学期にそのまま持ち越される。

SNS問題からは逃げられない

SNSの話は、まだ未就学児のわが家にはまだ関係がない。

禁止も、許可もしていない。子どもはSNSという言葉すら知らない。使っているのは、親の私だけだ。

でも、その日が近づいているのは分かる。ママ友の悩み。ニュース。まわりの話が、年々こちらへ寄ってくる。

正直に言えば、あまり見せたくない。

でも、今の世の中で「一度も触れさせずに育てる」のは、たぶん無理だ。 学校でも、習い事でも、友だちの家でも、どこかで必ず出会う。

だとしたら、親にできるのは遠ざけることではない。

うまく付き合う方法を、先に教えておくことだ。


開いた窓のようで、実は「個室」

SNSは、外へ開かれた明るい窓のように見える。

けれど子どもが実際にいるのは、中が見えない、鍵のかかった個室だ。

親には見えない。友だちにも見えない。何を見て、誰と話しているかを知っているのは、本人だけ。

しかもその部屋では、別人にもなれてしまう。 名前も、年齢も、性格も。

大人のふりをした子ども。子どものふりをした大人。それが同じ部屋に、静かにいる。

自分で止められないSNSの使い方は、気分の落ち込みや不安と関係する。世界中の研究を集めて分析した報告がある(1)。

原因と決まったわけではない。それでも、見過ごせない。

上手な人と、自分を比べてしまう

SNSには、うまくいっている瞬間だけが並ぶ。楽しそうな写真。きれいに整えた自撮り。盛り上がっている集まり。

うまくいかなかった日は、投稿されない。

たくさんの研究を集めた分析では、SNSで人と自分を比べることが多い人ほど、自分の見た目に不満を持ちやすかった(2)。

思春期は、もともと自分の見た目が気になる時期だ。そこへ、選び抜かれた他人の一枚が、毎日何十枚も流れてくる。

比べるな、と言っても無理がある。

比べる材料を減らすほうが、まだ現実的だ。

勉強と、集中力にも響く

これは、なんとなく想像はつくものの、ごく最近になって明確になってきた。

イタリアで、5千人を超える中学生を追いかけた研究がある(3)。学校でのアンケートと、国の学力テストの結果を突き合わせた。

わかったのは、始めた年齢による差だった。

11〜12歳でSNSを始めた子は、14〜15歳で始めた子にくらべ、学力テストで半年ぶんほど遅れていた。

成績や、進む学校の選び方にも差が出ていた。

アメリカにも、9〜10歳の子ども1万人以上を5年間追いかけた研究がある(4)。ほかの子と比べるのではなく、同じ子の中で年ごとの変化を見たものだ。

SNSの使い方が乱れた年の翌年には、落ち着きのなさや集中しにくさが増えていた。 男の子で、より強く出ていた。

どちらも観察にもとづく研究で、SNSが原因と決まったわけではない。

それでも、「早く始めるほど、勉強と集中に響きやすい」という方向は、複数の研究でそろってきている。

良い面の証拠は、まだ薄い

気になる話ばかり書いた。では、良い面はどうなのか。

正直に言うと、こちらの証拠は、まだかなり薄い。

「居場所になる」「友だちとつながれる」。実感としては分かるし、専門家の報告書にも並んでいる。ただ、数字で確かめた研究となると、ぐっと少なくなる。

若い世代8万人分をまとめた分析でも、積極的にやりとりすれば孤独が減る、とまでは言えなかった(5)。

悪い面はそれなりに調べられていて、良い面はあまり調べられていない。

良い面がない、という意味ではない。まだ分かっていない、ということだ。

私がSNSの利点を強調しないのは、そのためだ。そのうえで、現時点では日本では年齢制限がないため、自分が親なら禁止もしない。


絶対禁止ではなく、「使い方」を考える

さんざん心配を並べておいて、と思われるかもしれない。理由は3つある。

理由1 禁止すると、隠れて使う

まわりの子は使っている。友だちの話題も、そこで生まれる。

その中で自分ひとりだけ入れないのは、それ自体がつらい。 置いていかれる感じ。話に入れない感じ。子どもにとって、小さな痛みではない。

家で禁止しても、やろうと思えばできてしまう。友だちの端末でも、学校でも、親のスマホでも。

隠れて使われるのが、いちばん危ない。 何かあったときに、絶対に言ってこないからだ。

理由2 制限を強めても、減らないと分かっている

人の脳は、禁じられたものほど強く意識するようにできている。

研究でも同じことが見えている。オランダの中学生を、1年おきに3回追いかけた調査だ。

親が制限を強めても、そのあと使い方が良くなることはなかった(6)。

見えたのは、逆の順番だった。

子どもの使い方が乱れる。それを見た親が、あとから制限を増やす。この流れのほうが、はっきり出ていた。

つまり多くの家庭で、制限は「効いた手段」ではなく「困った結果」として増えている。

理由3 一緒に使うほうが、ずっと効いている

親の関わり方を4つに分けて比べた分析がある(7)。

子どもがオンラインで嫌な思いをしにくいことと、いちばん強く結びついていたのは、一緒に使うことだった。

次が、中身について話し合うこと制限することは、その次だった。

ここで言う「一緒に使う」は、アカウントを共有することでも、お互いをフォローすることでもない。

となりに座って、同じ画面を見る。 それだけだ。

「これ誰?」「その子おもしろいね」と口をはさむ。子どもが見せてきたものに、いちいち反応する。それが中身になる。

研究者たち自身は「どの家にも効く正解はない」と結んでいる。それでも順番ははっきりしている。

遠ざけるより、隣で覚えさせる。


では、どう使えばいいのか

大事なのは時間の長さより、使い方だ。

さきほどの分析では、SNSに使った時間の長さと孤独感の関連はごくわずかだった(5)。強く結びついていたのは、自分で止められない使い方のほうだ。

勉強でも同じだった。画面を見た時間そのものと算数の成績は、ほとんど関係していない(8)。

ただし、中身では差が出る。 ぼんやり眺める時間はマイナスに、勉強に使う時間はむしろプラスに働いていた。

「11〜12歳で始めると半年遅れる」と食い違うようだが、そうではない。片方は「始めた年齢」、もう片方は「1日に使う時間の長さ」を調べている。

早く始めることは悪い方に響く。でも、1日何時間かは、思ったほど関係しない。

見るべきは「何時間か」ではなく、「どう使っているか」だ。

おすすめの使い方理由
始めるのは、できるだけ遅く早く始めた子ほど、学力が落ちていた
時間より、中身を見る時間の長さと孤独感の関連はごくわずか
ぼんやり眺めるのではなく勉強に使うとよい
「気づいたら1時間」を避ける自分で止められない使い方が、心の状態と強く結びつく
フォローする相手を、一緒に選ぶ比べる材料そのものを減らせる
ときどき、となりで一緒に見る親の関わり方うち、子供がSNSで嫌な思いをしにくいことといちばん結びつきが強かった
夜は、寝る場所に持ち込まない眠りにつく時刻が、大きく後ろへずれる

いちばん気をつけたいのは、夜

SNSには、夜へ滑り込む性質がある。

友だちが起きている。通知が来る。返さないと悪い気がする。終わりの合図がないまま、時間だけが後ろへずれていく。

ここで効くのは、時刻ではなく場所だった。

11〜14歳の子どもを、カメラと腕時計型の機械で実際に測った研究がある(9)。寝る2時間前の画面は、その夜の睡眠時間をほとんど削っていなかった。

削っていたのは、ベッドに入ってからの画面のほうだ。

ベッドの中でSNSを見た夜は、眠りにつく時刻が40分近く後ろへずれていた。

夏休みのあいだは、これが表に出ない。朝が自由だからだ。でも新学期が始まれば、起きる時刻だけが元に戻る。

なので、ベッドには持ち込まない。

この話は②の動画・テレビ編で詳しく書いたので、あわせてどうぞ。


夏の終わりこそ、リアルを厚くする

冒頭のママ友の話に戻る。夏期講習で知り合った子と、SNSでつながった。

夏休みは、学校という枠を離れて、新しい友だちができる時期だ。習い事、地域のイベント、部活の合宿、塾。ふだん会わない子と出会う。

いいことだだが、注意が必要だ。

もともとSNSを見なかった子でも、新しく知り合った子がSNS好きだと、あっという間に引っぱられる。

そしてそのつながりは、新学期に持ち越される。 だからいま、作戦をねっておきたい。4つ書く。

作戦1 SNS以外の「好き」を、先に持たせる

画面の外に夢中になれるものがある子は、そもそもSNSに落ちる余地が少ない。

スポーツでも、楽器でも、絵でも、料理でも、電車でも、生き物でもいい。何が刺さるかは、その子次第だ。

②の動画・テレビ編でも同じことを書いた。

取り上げて空けた時間は、すぐに埋め戻される。好きなことで埋まった時間は、そうならない。

夏に何か見つけたなら、それを新学期に続けさせたい。週に一度でも、画面の外に居場所があるかどうかは大きい。

作戦2 親自身の友だち付き合いを、絶やさない

子どもは、親の人付き合いを見ている。その姿そのものが、人付き合いの教科書になる。

これは、実際に調べられている。9歳から11歳の子どもと親に、別々に話を聞いた調査がある(10)。

親に「困ったときに頼れる友人」がいる家庭ほど、子どもは友だちが多く、人付き合いがうまく、自分は幸せだと答えていた。

古い調査なので、どちらが原因かまでは分からない。それでも、親の交友関係と子どもの交友関係はつながっている。

親が友だちと会う予定には、子どもを連れていくといい。大人同士の会話を、横で聞いているだけでいい。

親が友だちと会うのは、子どものためでもある。 そう思うと、少し出かけやすくなる。

作戦3 子どもの友だち付き合いを、後押しする

親だけに、子どもの友だちづきあいの手助けの仕方を教えた研究がある(11)。子どもには何もしていない。

教えたのは3つだ。

  • 友だちと会う機会を作ること
  • その場がうまくいくよう、段取りすること
  • 困ったときに、助言すること

結果、子どもの友だち関係は良くなった。しかも、研究のことを知らされていない学校の先生の評価でも、仲間からの受け入れが良くなっていた。

先生が何も知らずに見て差が出た、というのが大事だ。親のひいき目ではない。

対象は特性のあるお子さんなので、どの子にも同じとは言えない。それでも「親が動けば、子どもの友だち関係は変わる」ことは示されている。

新学期は、この作戦がやりやすい。クラス替えの後や行事の前は、きっかけを作りやすいからだ。

作戦4 問い詰めずに、語る

忙しくて友だちと会う時間なんて何年も取っていない、という方も多いはずだ。人付き合いが得意ではない方もいる。私も、そんなに社交的なほうではない。

そういうときは、会話で渡せばいい。

親子の会話には、気持ちに触れながら広げる型と、同じ質問を毎日繰り返す型がある(12)。広げる型で話す家庭の子どもは、自分の気持ちを理解する力と、立て直す力が育ちやすい。

調べられたのは主に小さい子の親子なので、思春期でも同じかは分からない。それでも向きは変わらないと思う。

「誰と遊んだ?」を毎日聞くのは、繰り返す型だ。聞いてはいけない、ではなく、聞き方の問題だ。

手っ取り早いのは、こちらから語ることだと思っている。

「お母さんが小学生のころね、友だちと秘密基地作ってて」

「中学のとき、仲良かった子とけんかして、しばらく口きかなかったんだよね」

失敗談がいい。 うまくいった話より、子どもは身を乗り出す。

問い詰めるのではなく、友だち同士の雑談のように話す。思春期の子も、自分の話をしやすくなる。

会話、交流、人付き合い。このあたりは、SNS対策としてだけでなく、その子が生きていくうえでの土台になる。


いちばんの守りは、ルールではなく「言える関係」

のぞき見より、この一言のほうが強い。

「嫌なコメントが来たら、怒らないから見せてね」

「変なもの見ちゃったら、教えてね」

履歴をこっそり見る。横から逐一注意する。これを続けると、子どもは画面を隠すようになる。

いちばんこわいのは、使いすぎではない。傷ついたときに、親に言えなくなることだ。

先に「私は味方だ」と伝えておく。それだけで、何かあった日の逃げ道が一本できる。

なお、まだ持たせていない家庭でも、親のスマホは先に整えておきたい。 子どもがSNSに最初に触れるのは、たいてい親の端末からだ。

親のスマホを渡すときの3つ
□ 開いているアプリだけしか使えないようにする(親が解除するまでホーム画面に戻れなくなる。iPhoneは「アクセスガイド」、Androidは「画面の固定」)
□ 渡す前に通知を切る。機内モードでもいい
□ 動画は子ども向けアプリか、制限モードにしておく

よくある質問|知らない人、いじめ、使いすぎ、ルール、何歳から

Q1. 知らない人とやり取りしていないか、こわいです。

親の不安の筆頭に来るものです。しかも、根拠のある不安です。

警察庁の統計では、SNSがきっかけで犯罪の被害にあった18歳未満の子どもは、令和6年に1,488人でした(13)。減ってはいますが、まだ高い水準です。

数字より気になるのは、その入り口です。多くは、ふつうのやりとりから始まります。

趣味の話。悩みの相談。優しい言葉。信頼ができたころに、写真を求められる。ここまでが、ひとつながりです。

伝えるのは「知らない人と話すな」ではありません。それは、たぶん守れません。

  • 会おうと言われたら、必ず親に言う
  • 写真を求められたら、その時点で断る。断りにくければ、親に見せる
  • 「親には内緒で」と言われたら、それが危険な合図→すぐ親にいう

最後のひとつが、とりわけ大事だと思っています。親に隠させようとすること自体が、危険信号だからです。相手が誰であっても、これは変わりません。

Q2. グループの会話で、仲間はずれにされていないか心配です。

実際に起きるトラブルとして、最も多いのがこの種のものです。既読無視、グループから外す、悪口の共有。

国の調査では、パソコンや携帯電話を使ったいじめが年間2万7千件あまり報告されており、前の年より増えています(14)。これは、学校が把握できた分だけの数字です。

大人の目から見えにくいのが、やっかいなところです。

まず「見せてね」より先に、「言っていいんだよ」を渡しておいてください。そのうえで、SNS以外の居場所を持たせておくこと。

ひとつのグループがすべてになっていると、そこを失うことが致命傷になります。部活、習い事、地域、いとこ。行き先が複数あるだけで、逃げ場ができます。

眠れない、学校を渋る、食欲が落ちるといった変化が続く場合は、学校と、必要なら小児科や児童精神科にご相談ください。

Q3. 一日中スマホを見ています。使いすぎではないでしょうか。

中学生では、95%がSNSを使っているという調査があります(15)。小学校高学年でも半分を超えています。

つまり「うちの子だけ」ではありません。

そのうえで、見てほしいのはSNS使用時間の長さよりどのような使い方をしているかです。

8万人分をまとめた分析でも、使った時間の長さと孤独感の関連はごくわずかでした(5)。強く結びついていたのは、自分で止められない使い方のほうです。

同じ2時間でも、友だちと部活の連絡を取っているのと、知らない人の投稿を延々とスクロールしているのとでは、まったく違います。

時間で叱る前に、「何見てるの?」と一度のぞかせてもらってください。

Q4. ルールを決めたのに、守られません。

これは、ほとんどの家庭で起きています。

国の調査では、8割を超える保護者が「ルールを決めている」と答えています。 ところが学年が上がるほど、子ども側と親側で言うことがずれていきます(16)。

つまり、親は決めたつもりでも、子どもはそう思っていない。 これがかなりの確率で起きています。

対処は単純です。一方的に決めない。 子どもと一緒に決めて、紙に書いて、見えるところに貼る。そして守れなかったときに、罰ではなく話し合いに戻す。

理由2で書いたとおり、制限を強めても使い方は良くなりません。ルールは取り締まりの道具ではなく、共通の約束として置いておくものです。

Q5. 結局、何歳から持たせればいいのでしょうか。

多くのSNSは規約で13歳以上ですが、「何歳なら安全」という医学的な線引きはありません。

ただ、手がかりはあります。本文で書いたとおり、11〜12歳で始めた子は、14〜15歳で始めた子より学力テストで遅れていたという研究があります(3)。

遅く始めるほうが無難、という方向は見えています。

そして、制度は今、大きく動いています。

オーストラリアは昨年12月、16歳未満のSNS利用を禁止する法律を始めました。国ぐるみでは世界初です。スペインも今年、同じ方針を発表しています。

日本では、総務省が今年6月、事業者に年齢確認を厳しくするよう求める案を出しました。ただし年齢による一律の制限は「望ましくない」としています。

一方こども家庭庁は7月の中間報告で、年齢制限の議論を続ける方針を示しました。事業者への年齢確認の義務づけを含む法改正案を、来年の国会に出すとしています(17)。

米国の公衆衛生当局も、一律の禁止ではなく、その子の育ちに合わせた見守りをすすめています(18)。

ただ、制度がどう決まっても、家庭ですることは変わりません。

年齢確認が厳しくなっても、親のスマホからすり抜ける問題も、比べてしまう問題も、知らない大人から話しかけられる問題も残ります。

年齢そのものより、嫌なことがあったときに親へ話せる関係と、SNS以外の居場所があるか。 そこが先です。


SNSが、その子の居場所になっている場合

SNSが、その子の唯一の安全な場所になっていることがある。

家で傷つけられている。学校で居場所がない。そういう子が、SNSの中で別の名前を持ち、そこでだけ生き生きしている。

この場合、取り上げるのは酷だと思う。 命綱を切ることになりかねない。

それでも、リアルな世界とのつながりは必要だ。この先を生きていくためにも、事件に巻き込まれないためにも。

そういう子の親は、たいてい気づけない。

だから、まわりの大人が気にかけてほしい。 学校の先生、習い事の先生、近所の大人、親戚。

声をかけるだけでいい。リアルの世界にも、自分を見ている人がいる。 それが分かるだけで、変わることがある。

この記事を読んでくださっている方は、お子さんのことを真剣に考えている方だと思うが、

よその子についても、ぜひ、少しだけ目を配ってもらえたらと思う。


最後に|大事なところだけ

長くなったので、要点だけ残しておく。

親が気をつけること

  • 禁止より、ときどきとなりで一緒に見る
  • フォローする相手を、一緒に選ぶ
  • ルールは一方的に決めない。 一緒に決めて、書いて貼る
  • 「嫌なものが来たら、怒らないから見せてね」と先に言っておく
  • SNSより先に、リアルの人付き合いを厚くする

子どもに伝えること

  • 誰かに会おうと言われたら、必ず親に言う
  • 写真を求められたら、その場で断る
  • 「親には内緒で」と言われたら、それが危険信号。すぐ親に言う。
  • 見ていてつらい相手は、外していい
  • ベッドには持ち込まない

おわりに

画面の向こうの世界は、これからも流れ続ける。あなたの子どもが大人になっても、きっと。

親にできるのは、その流れを止めることではない。付き合い方を教えることと、安心して帰れる場所になることだ。

嫌なものを見た日に、安心して戻れる場所があること。楽しかった話を、笑って聞いてくれる人がいること。

帰る場所がある子は、遠くで無理をしない。

帰る場所をつくるのは、ルールではない。

画面の外にある「好き」と、顔の見える人付き合いだ。

高い塀を築くより、安心して戻れる場所を。新学期が始まるいま、そこから始めてほしい。

心が変わると、すべてが変わる。——SNSも、新学期も、人生も。

参謀医Reimyより


📜 「夏休みの画面」シリーズ(全3回)

あわせて→ 【SNSとの付き合い方①・依存と距離編】


免責事項

本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療に代わるものではありません。文中の家庭の話は、あくまでわが家の一例です。ご家庭ごとに事情も、お子さんの性格も違います。押しつけるつもりはありませんので、合いそうなところだけ取り入れてください。制度に関する記述は2026年8月時点のものです。お子さんの不眠・強い不安・気分の落ち込みが続く場合は、小児科・児童精神科など医療機関にご相談ください。


参考文献

  1. Shannon H, Bush K, Villeneuve PJ, Hellemans KGC, Guimond S. Problematic Social Media Use in Adolescents and Young Adults: Systematic Review and Meta-analysis. JMIR Mental Health. 2022;9(4):e33450. doi:10.2196/33450
  2. Bonfanti RC, Melchiori F, Teti A, Albano G, Raffard S, Rodgers RF, Lo Coco G. The association between social comparison in social media, body image concerns and eating disorder symptoms: A systematic review and meta-analysis. Body Image.
  3. Gui M, Respi C, Abbiati G, Paladini C, Ercolanoni S, Milzani F, Pirola T, Vezzoli G. Longitudinal effect of early social media use on standardized learning outcomes during school career. Nature Human Behaviour. 2026 Aug 3. doi:10.1038/s41562-026-02522-4
  4. Nagata JM, Otmar CD, Nayak S, Li EJ, Ramappa S, Ganson KT, Lavender JM, Testa A, He J, Christakis DA, Baker FC. Problematic Social Media Use and Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Symptoms in Adolescents. JAMA Network Open. 2026;9(7):e2623748. doi:10.1001/jamanetworkopen.2026.23748
  5. Wu YY, et al. Exploring the relationship between social media use and loneliness in adolescents and young adults: a systematic review and meta-analysis. Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology. 2026. doi:10.1007/s00127-026-03175-4
  6. Geurts SM, Vossen HGM, van den Eijnden RJJM, Koning IM. Bidirectional Within-Family Effects of Restrictive Mediation Practices and Adolescents’ Problematic Social Media Use. Journal of Youth and Adolescence. 2024;53(8):1928-1938. doi:10.1007/s10964-024-01990-z
  7. Tan CY, Xu N, Liang M, Li L. Meta-analysis of associations between digital parenting and children’s digital wellbeing. Educational Research Review. 2025;48:100699. doi:10.1016/j.edurev.2025.100699
  8. Ulum H. Screen Handicap in Mathematics: A Meta-Analysis of Mathematics Performance Related to Screen Time and Type. European Journal of Education. 2026;61(1):e70400. doi:10.1111/ejed.70400
  9. Brosnan B, Haszard JJ, Meredith-Jones KA, Wickham SR, Galland BC, Taylor RW. Screen Use at Bedtime and Sleep Duration and Quality Among Youths. JAMA Pediatrics. 2024;178(11):1147-1154. doi:10.1001/jamapediatrics.2024.2914
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  11. Mikami AY, Lerner MD, Griggs MS, McGrath A, Calhoun CD. Parental influence on children with attention-deficit/hyperactivity disorder: II. Results of a pilot intervention training parents as friendship coaches for children. Journal of Abnormal Child Psychology. 2010;38(6):737-749. doi:10.1007/s10802-010-9403-4
  12. Fivush R, Haden CA, Reese E. Elaborating on elaborations: Role of maternal reminiscing style in cognitive and socioemotional development. Child Development. 2006;77(6):1568-1588. doi:10.1111/j.1467-8624.2006.00960.x

参考資料

  1. 警察庁. 令和6年の犯罪情勢. 令和7年2月.
  2. 文部科学省. 令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果. 2025年.
  3. NTTドコモ モバイル社会研究所. 子どものSNS利用に関する調査. 2026年2月.
  4. こども家庭庁. 令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果. 令和7年3月.
  5. 総務省「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」報告書案(2026年6月2日公表)/こども家庭庁 有識者検討会 中間報告(2026年7月30日)
  6. Office of the U.S. Surgeon General. Social Media and Youth Mental Health: The U.S. Surgeon General’s Advisory. 2023.

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