8通目:怒りは悪者じゃない――イライラと上手に生きる方法

いつも優しくてニコニコのあなたが、言葉少なく、表情もかたくて、プンプンしていて。
お迎えの帰り道から、何か違う雰囲気だった。
家に帰った途端、「もう!」と叫ぶし、イライラしながら「ママは怪獣!」と言い放つ。私は、よくわからなくて戸惑った。
「怪獣だなんて言ったら、ママ悲しくなるよ」と伝えたら、しばらくしてぽろぽろと泣き出した。
「……お友達に、怪獣って言われた」
あの瞬間、全部わかった。あなたは怒っていたんじゃなかった。傷ついていたんだね。

怒りの正体を知ると、少し楽になる
精神科医として言わせてほしい。
怒りは、二次感情だ。
怒りの裏には必ず、一次感情がある。悲しみ、さびしさ、恥ずかしさ、不安、疲れ。そういう「本当の気持ち」が処理しきれなくて、外に爆発する形が「怒り」になる。
あなたがあの日「怪獣!」と叫んだのも、本当は友達に傷つけられた悲しさが、小さな体に収まりきらなかっただけだった。
これを知っているだけで、自分の怒りも、人の怒りも、少し違って見えてくる。

【子どものイライラに、私がやったこと】
対処法を頭では理解していたのに、とっさに私は言葉で解決しようとしていた。「何かあった?」「大丈夫?」と聞き続けた。でもそれは逆効果
傷ついているとき、疲れているとき、言葉はいらない。
ふと我にかえって私は、黙ってそばにいることにした。
あなたの大好きな牛乳を一杯置いて、あとは何も聞かない。ただ同じ空間にいる。それだけでいい。
あなたが泣き出したときも、すぐに「どうしたの」とは聞かなかった。ただ、だまって抱きしめた。そうしたら、あなたのほうから話してくれた。

もう一つ。アドバイスより先に、共感する
「それは悲しかったね」「そんなこと言われたら傷つくよ」と、まず気持ちを受け止める。解決策は、心が落ち着いてからじゃないと入らない。子どもも、大人も、同じだ。

【自分のイライラに、私がやったこと】
正直に言うね。「ママは怪獣!」と言われたとき、私の中にもカチンとくるものがあった。
仕事終わりに迎えに行って、夕飯も作らないといけなくて、そんなときに怒鳴られて。私だって人間だから、イライラしてしまうの。

そんなとき私がやっていたのは、その場を物理的に離れること。
台所に行く、トイレに入る、ベランダに出る。1〜2分でいい。怒りのピークは6秒で過ぎる、と精神科では教えるけれど、6秒その場にいるのがきついなら、場所を変えるだけでいい。

それから、怒り以外で今の気持ちを言葉にしてみること。なぜイライラしてるんだろう?と自分自身に聞いてみよう。
そして「私は今、悲しいんだ」「疲れているんだ」「さびしいんだ」と、心の中で言葉にする。怒りの裏にある本当の気持ちを自分で見つけてあげると、不思議と怒りの火が小さくなる。

そして、あなたをムギューと抱きしめること。
これが一番効いた。

ムギューは最強〜!(私はAdoの歌を頭の中で流しながらムギューしていたよ)。

子どもも落ち着くし、不思議と私も落ち着く。抱きしめることで、オキシトシンというホルモンが出る。これは別名「幸せホルモン」で、怒りやストレスをやわらげてくれる。科学的にも、理にかなっている。

【怒りは、悪者じゃない】
怒りは、傷ついたサイン。限界のサイン。大切にされたいというサイン。
だから怒りを感じること自体は、何も悪くない。
怒りと上手に生きるということは、怒らない人間になることじゃない。怒りの裏にある本当の気持ちを、自分でわかってあげられるようになること。
あなたのあの日の「怪獣!」が、私にそれを改めて教えてくれた。

ありがとう。

Dr.Reimyより

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